SEPP回路によるトランジスタパワーアンプが開発された当初、トランジスタが電流増幅素子であり、ベース・エミッタ間電圧と電流との直線性が悪く、電流が少ないところで電流増幅率の劣化が大きかった。このため、プッシュ側とプル側のパワートランジスタの切り替え付近での増幅率変動が大きな歪をもたらし、これが再生音質に悪影響を与えると考えた人たちが多数いた。
これを信じたメーカの技術者も、終段トランジスタの動作停止が発生しないアンプを、「純A級」などの造語までして、エネルギー効率を気にしない金持ちに高級品として売り込んだ。やがて、この大量の熱を発生するストーブアンプが、高価であるから良いものであると信じ込んだ人々により、巷に伝承され、未だにこれを信じている人がいる。 |