嘘か真か巷の噂

ファイ

<誰も語ろうとしない真実>

A級アンプは、優れもの?

 誰が名づけたAクラス、このネーミングが誤解の元。

 オーディオ用パワーアンプの終段、コンプリメンタリ(相補型)トランジスタでSEPP(シングルエンディッドプッシュプル)を構成する際、プッシュ側とプル側の両トランジスタが常時動作する、効率が悪いのをA級、切り替えポイントで、オーバラップ無く、もっとも効果的にトランジスタを切り替えるのをB級、この中間をAB級と呼ぶようになった。私なら、ネーミングを逆にしただろう。また、切り替え時に信号の一部がカットオフするが更に効率の良いタイプをC級、ディジタルアンプの出現でD級が追加された。

 A級アンプ伝説のはじめ

 SEPP回路によるトランジスタパワーアンプが開発された当初、トランジスタが電流増幅素子であり、ベース・エミッタ間電圧と電流との直線性が悪く、電流が少ないところで電流増幅率の劣化が大きかった。このため、プッシュ側とプル側のパワートランジスタの切り替え付近での増幅率変動が大きな歪をもたらし、これが再生音質に悪影響を与えると考えた人たちが多数いた。


 これを信じたメーカの技術者も、終段トランジスタの動作停止が発生しないアンプを、「純A級」などの造語までして、エネルギー効率を気にしない金持ちに高級品として売り込んだ。やがて、この大量の熱を発生するストーブアンプが、高価であるから良いものであると信じ込んだ人々により、巷に伝承され、未だにこれを信じている人がいる。

 増幅率の変化よる歪の考察

 負帰還を外したパワーアンプのゲイン(裸利得)は、今や簡単に10000を超すことができる。全体負帰還により、アンプの電圧増幅率を10倍にしたとすると、最終段で発生した非直線性歪は、1/1000に抑圧される。すなわち、最終段で1Vもの歪が発生したとしても、1mVの出力変動にしかならず、このときの信号レベルからして聞き取れるレベルではありえない。

 すなわち、エミッタホロワである最終段のパワートランジスタをA級動作にしても、電流増幅率の非直線性回避効果は皆無と言える。

 スイッチング歪対策をバイアス制御で

 SEPP回路で発生する歪で問題として残るのは、負帰還で改善されない歪、すなわち、トランジスタ動作の停止区間の発生である。これに起因する歪は、スイッチング歪と呼ばれ、主にベース・エミッタ間が逆バイアスされて、ベース層のマイナーキャリアが欠乏状態になり、この回復に時間がかかり、この間トランジスタの増幅動作が失われるため発生する。

 この問題に気づいたメーカの技術者たちは、ベース・エミッタ間に接続する分流抵抗を小さくし、バイアス調整回路が複雑になりがちだったが、逆バイアスの発生を抑えるなどの取り組みを実施した。

  A級アンプは、アンカ代わりアンプ

 トランジスタの性能向上と回路の工夫で、最早、A級ストーブアンプは、過去の遺物と言えます。それでも、A級ストーブに拘って自作される方はせめて、BTL構成として、1/2の電圧、すなわち、1/2以下の電力にして、アンカ程度に発熱を下げ、可哀想なトランジスタを熱から助けてやって欲しいもの。

SFBアンプ資料購入の手続きへ

 本教室では、非常にシンプルで実現容易なスイッチング歪対策を教材資料のSFBアンプの一部として紹介していますので、資料購入して、新たな回路へ挑戦されてはいかがでしょうか。もちろん、回路設計方法を詳説していますので、ご自身でA級アンプ化を試してみることも容易です。

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