月に吼える

 底抜け!個人情報保護法

 

ファイ 

 

寝転んで、吸い寄せられるリンゴを見よ!

底抜け!個人情報保護法   これは悲しむべき遠吠えである

  学校における保護者連絡網構築や同窓会などの名簿作成を困難にしている個人情報保護法だが、肝心の第三者の無許可利用や提供規制が架からず、笊法になっている。

ベネッセコーポレーションから漏えいした個人情報が、複数の名簿業者を介してジャストシステムに転売されたことは、溢れる報道のとおりである。これらの報道は、情報漏えいに主眼を置き、不正競争防止法を取り締まりの主軸に置いたものであり、個人情報の第三者流通の是非について、厳しく追求している報道は少ない。

 

 ITの活用が進み、購買情報など、いたるところで個人情報が収集されている。このような情報が各個人の意に反して使用されることのないよう、個人の権利を保護するべく制定された筈の個人情報保護法であるのに、この点からの違法性追及報道が無きに等しい。

 

個人情報保護法が活きているとすれば

 ジャストシステムは、名簿記載者の許可の有無を確認せずに情報提供を受けたのであれば厳しく追及されるべきであるし、情報提供に関与したすべての事業者は、名簿記載者の知らぬところで他者提供を実施しているのであるから、違法取引であることは自明であろう。

 個人情報保護法がこれを取り締まれないのであれば、個人情報の際限のない市場流通を止めるものはなく、不正漏洩は今後も後を絶たないだろう。これは、この法を定めた行政組織、立法府の無能さを表しているのであり、情報の入手方法に関わらず、第三者流通を防止する早急な改革が必要であろう。このような観点から、7/11に、消費者庁へ、次のような問い合わせを実施した。

 

 ベネッセコーポレーションから流出したとされる名簿が、複数の業者を経て、ジャストシステムに転売された。本件に関し、マスメディアでは、名簿業者やジャストシステムの個人情報の取り扱いに関する違法性に言及していないが、何故か?

 「保護法(第三者提供の制限) 第二十三条」 は、このような事態に対して設けられたものではないのですか?

 どの業者も、名簿記載当事者の許可を得ることは不可能であり、明らかに違反するものと考えられるが、貴庁では、このような重大な個人情報の不正取引に対して、厳罰化、再発防止の活動はどのようにされているのですか?

 名簿の不正売買の抑止のためにも、報道活動を期待します。

 

次のような報道もある。

 消費者庁によると、現行法では窃盗や詐欺、利用目的を偽るなど不正な手段で入手した情報は記載された本人が業者に消去を要求できるが「正当に手に入れた」と拒否された場合、同法によって争う手段はない。また、不正に情報を手に入れた業者には、監督官庁が情報を消すよう命じられるが、この場合も不正と知らずに入手した業者に命令はできない。

 この報道が正しければ、個人情報の保護の視点をまったく持たない官庁の見識であり、無責任極まりない。情報の価値、活用権が、入手方法に依存していると考えることに無理があり、入手方法に無関係でなければ個人情報保護などできるはずがない。

 

 ちなみに、第二十三条は次の二項からなり、第二項がオプトアウトと呼ばれるお墨付きを与えている。

(第三者提供の制限)

 第二十三条  個人情報取り扱い事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

・・・・

2 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。

・・

 

 この規定で特にひどいのは、「又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき」の玉虫色の規定である。

 

 しかし、販売される名簿に誰の記載があるかは知りうる筈もないので、入手先が本人に確認をとるか、通知していなければ、この名簿情報の第三者提供を本人が容易に知り得る状態に置いているとは言えず、これを用いた情報提供はできないと解釈できる。

 にも関わらず、このオプトアウトを拡大解釈して提供できるとしている業者を看過している。 これは、行政組織の不作為であり、この条項の削除が諸悪の根源を絶つ上で重要なのです。

  行政組織やマスメディアに関わる人も、本人やその家族についての情報が闇の中で流通していることを自覚すれば、他人ごとではないはずなのですが。

 

パブリックコメント

「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対する意見

 次のようなベネッセ情報漏えい事件の報道、解説記事を見ていると、個人情報保護に関する視点が如何にも希薄である。

 

顧客情報流出 売買業者も説明責任負う

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140711/crm14071103190002-n1.htm

流出情報に削除請求権、被害拡大防止…法改正へ

http://www.yomiuri.co.jp/national/20140712-OYT1T50018.html?from=ytop_ylist

ベネッセ漏えい事件「名簿業者」の実態

http://www.yomiuri.co.jp/it/security/goshinjyutsu/20140712-OYT8T50015.html?from

 

 そんな中で、標記パブリックコメントを募集しているとの記事を見て、内容を確認しようとアクセスしてみた。電子政府のホームページ(http://www.e-gov.go.jp/)にアクセスしてみると、「パブリックコメント」がある。しかし、その一覧の中には、該当する案件は見当たらず、記事を再確認して、トップ > 会議等一覧 > 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部) のページのお知らせの中にあることを知った。

 このことをコメント送付の際に連絡すると、パブリックコメント一覧の見落としがあるとの連絡をいただいた。参照の際の方法選択が悪かったようで、行政組織、昇順を選択すると先頭から2つめにあった。なお、この組織は、平成13年1月、内閣に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」が設置された組織のようだが、電子政府の推進体制であるIT総合戦略本部の一部として組織図に描かれている。

  

 内容を見て、その見識にあきれ、すぐに、7/15、募集要領に従い、以下の意見1を送付、大意は十分であると考えたが、記述箇所別に論議されることも考え、意見2〜4の追記判を翌日送付した。 

 意見1

該当箇所(どの部分についての御意見が、該当箇所がわかるように明記してください。)

p.7

 

1 本人の同意がなくてもデータの利活用を可能とする枠組みの導入等

パーソナルデータの利活用により、多種多様かつ膨大なデータを、分野横断的に活用することによって生まれるイノベーションや、それによる新ビジネスの創出等が期待される。この際、目的外利用や第三者提供に当たって、本人の同意を必要とする現行法の仕組みは、事業者にとって負担が大きく、「利活用の壁」の一つとなっている。そこで、個人の権利利益の侵害を未然に防止するために本人の同意が必要とされている趣旨を踏まえつつ、パーソナルデータの利活用を促進するために、現行法の規律に加え、新たに一定の規律の下で原則として本人の同意が求められる第三者提供等を本人の同意がなくても行うことを可能とする枠組みを導入する。

具体的には、個人データ等からたデータ」への加工と、本人の同意の代わりとしての取扱いに関する規律を定める。

 

意見内容

 

1 本人が特定できない情報であれば、本人の同意を得ることはできず、個人情報とは言いがたい。従って、この枠組みを議論すること事態が論理破綻している。

 

2 「本人の同意を必要とする現行法の仕組み」は、重要とされる場面でほとんど機能していず、個人情報保護法は、例えば保護者連絡網の作成などの有用なコミニュケーションを阻害しているだけの無用の長物に近いことを認識するべきである。

ベネッセ事件でも見られるように、個人情報の記載された名簿が何の壁もないかの如く販売されている。営業情報を配布して欲しい事業者名簿を除けば、第三者販売を許可している個人が多数いることは考えにくく、現行法で個人名簿等の販売は成り立つとは思えない。しかるに、巷には壁はないかの如くであり、仕組みの徹底、違反の積極防止が求められる状況であり、論点が真逆である。オプトアウトは抜け道として誤用されている。

 

3 名簿など、個人情報の第三者への提供、販売は、入手方法の如何を問わず禁止すべきであり、用途と提供先についての個人の許諾が明白な場合に限り、許諾を受けた提供先だけを例外的に認めるようにするとともに、罰則を強化し、保護を強化すべきである。

また、適用範囲を、個人情報取扱事業者に限定せず、個人まで適用範囲に含めるべきである。

 

理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記してください。)

 

1 名簿など、個人情報の第三者への提供は、プッシュ型の販売、すなわち、押し売り、詐欺などに悪用されるだけで、社会的な有用性は皆無に近い。実際、怪しげな金融商品の電話勧誘などに使われ、電話番号の出展を問い詰めると某名簿販売業者から購入した名簿とのことであった。不正を生む諸悪の根源と言える。

 

2 ジャストシステムが購入した名簿がベネッセから漏洩した情報であることが報じられている。 しかし、不正競争防止法違反に焦点をあてた報道が多く、第二十三条はどこに行ってしまったのか、より重視されるべき個人情報保護の視点での報道が少ない。個人情報の無許可移転に関わった組織、人物を全て取り締まれなければ、笊法と言わざるを得ない。

 

意見2

・該当箇所(どの部分についての御意見が、該当箇所がわかるように明記してください。)

P12

(3) 個人情報の取扱いに関する見直し

B 個人データの第三者提供におけるオプトアウト7規定については、運用上の問題が指摘されているところ、現行法の趣旨を踏まえた運用の徹底を図ることとする。

また、個人データにより識別される本人が、前述のオプトアウト規定を用いて個人データの提供を行っている事業者を容易に確認できる環境を整えるため、個人情報取扱事業者がオプトアウト規定を用いて第三者提供を行う場合には、現行法の要件に加え、第三者機関に対し、法に定める本人通知事項8等を届け出ることとするほか、第三者機関は届け出られた事項を公表するなど、必要な措置を講じることとする。この際、現に適切な取扱いを行っている事業者等への影響に留意しつつ、適用対象及び必要かつ最低限の手続等を定めることとする。

C 共同利用9については、個人情報取扱事業者において現行法の解釈に混乱が見られるとの指摘があるところであり、個人データを共同して利用する者の全体が一つの取扱事業者と同じであると本人が捉えることができる場合のみ共同利用が認められるものであるという現行法の趣旨を踏まえた運用の徹底を図ることとする。

 

  意見内容

 

 行政機関・立法府における「運用の徹底」は、「何もしない」の同義語である。オプトアウト規定の誤用、拡大解釈が、不適切な情報流通、制御不能な情報拡散を促し、諸悪の根源になっていることを恥ずべきである。第三者機関の設置は、雨漏りする屋根にすだれを掛けるようなもので、費用の増加、隠れ蓑の増大を促すだけである。

個人当事者の許諾、承認を受けた範囲での利用、流通に厳しく制約すべきであり、活用にあたっては、どんなに費用が係ろうと許諾・承認を得なければならない。それが、社会正義である。

 

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記してください。)

 

 ベネッセ事件の報道にも見られるように、漏洩した個人情報の流通が業者間で行われ、入手方法を知らなければ罰せられないかのように伝えられている。この流通に関与した業者、個人は、情報から特定される個人に許諾をとっている筈もなく、オプトアウトの適用条件を厳密に満たしているとは思えず、誤用、拡大解釈しかありえない。

個人情報の収集に際して、個人の許諾を受けて管理することが、個人情報保護の根幹であり、情報管理責任者は、利用目的、利用範囲等の許諾を受けている。これを超えて、利用範囲、提供先を一方的に拡大することは、そもそも、契約違反、信義違反である。

法治国家たるためには、管理を許諾されたもの以外の第三者の関与を厳密に禁止し、厳しい罰則を科すべきである。適切な活用のみを許容することが、活用促進の道である。

 

意見3

・該当箇所(どの部分についての御意見が、該当箇所がわかるように明記してください。)

p16

Y その他の制度改正事項

1 取り扱う個人情報の規模が小さい事業者等の取扱い

(1) 取り扱う情報の性質及び取扱いの態様による適用除外

CD-ROM、電話帳やカーナビゲーションシステム等他人の作成に係るデータベースを利用する場合や、自治会や同窓会等の構成員内部で連絡網を作成し共有する場合など、個人情報の性質及び取扱いの態様を踏まえ、個人情報取扱事業者の適用除外とするなど必要な措置を講じることとする。

(2) 取り扱う情報の規模及び内容並びに取扱いの態様による配慮

現行法における、取り扱う個人情報によって識別される特定の個人の数が5,000以下である場合の個人情報取扱事業者としての適用除外の規定を廃止し、個人の権利利益を侵害するおそれが少ないと認められる一定の要件を満たす者については、義務違反行為が故意又は重過失によるものであるなどの事由がない場合には、勧告及び命令の対象としないこととできるよう、必要な措置を講じることとする。

2 学術研究目的の個人情報等の取扱い

学術研究の目的において、提供元事業者が第三者提供により、本人又は第三者の権利利益を侵害するおそれがあると考え、提供することに躊躇するという状況が見られないよう、学問の自由に配慮しつつ、講じるべき措置を検討する。

 

・  意見内容

 

 個人情報を、利用するにあたり個人から許諾を受けた利用範囲を超えて、第三者へ提供することは、取扱者の規模の大小に関わらず許容されるべきでない。「おそれが少ない」などの判断は個人には分からず、不安を増大させる効果しかない。このような曖昧さが個人情報の不適切な流通、制御不能な情報拡散を発生させる諸悪の根源である。

個人当事者が不可知の第三者への提供を厳しく抑止することが、逆に必要な情報を適正な範囲での活用を促進する道である。

学術研究であれば、なおさらのこと、提供を躊躇させる情報は活用すべきではない。必要であれば、許諾を得たうえで堂々と実施すべきである。

 

・  理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記してください。)

 

 重視されるべき個人情報保護を棚上げして、姑息な考え方で大きな成果が得られるはずがない。ベネッセ事件でも分かるように、個人情報の不適切な拡散が情報の入手方法の正当性でしか論じられていない現状で、笊法の笊の目を大きくしてどうする。

 

意見4

・該当箇所(どの部分についての御意見が、該当箇所がわかるように明記してください。)

p17

4 いわゆる名簿屋

個人情報を販売することを業としている事業者(いわゆる名簿屋)等により販売された個人情報が、詐欺等の犯罪行為に利用されていること、不適切な勧誘等による消費者被害を助長するなどしていること及びプライバシー侵害につながり得ることが、社会問題として指摘されている。このような犯罪行為や消費者被害の発生と被害の拡大を防止するためにとり得る措置等については、継続して検討すべき課題とする。

 

・  意見内容

 

 個人情報保護の最大課題であるべきこの問題を棚上げして、更にこれを助長するような施策の策定が有用であるはずがない。本末転倒の議論である。この課題を解決するまで、本案件は棚上げすべきである。

 

・  理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記してください。)

 

 重視されるべき個人情報保護を棚上げして、更に、漏洩させる穴を広げても意味がない。無許可移転に関わった組織、人物を全て取り締まれなければ、笊法と言わざるを得ない。笊の目を大きくしてどうする。

 

 

2014/7/16

   

     

 

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