月に吼える

誰も語らない火災報知器の闇

ファイ 

 

 火災報知設備と利権 安全か危険か、業界保護と癒着の温床。

 特定小規模施設用自動火災報知設備(特定設備と記す)

 宿泊施設や障害者グループホーム等の社会福祉施設すべてに、自動火災報知設備の設置が義務づけられ、300平米以下の小規模施設(以下、特小施設と記す)で利用可能とされるものです。
 一般住宅に設置義務づけされている住宅用防災警報器の一種の無線連動型(以下住警器と記す)と酷似しているのですが、住警器は感知性能等が異なるので特定設備に代えて設置することはできないとされています。
 更に、この特定設備は、電気店で市販されておらず、「一般社団法人 日本火災報知機工業会」の会員のうち、リストに登録された会社に問い合わせするように制限されているのです。

 

  火災報知器(住警器)は本当に役立つのか?

   2世帯住宅や小規模アパートなどを考えれば、一般住宅と特小施設との間に防災警報器に求められる要件に大差があるとは思えず、特定設備と住警器とはダブルスタンダードのように思えました。(どちらかの基準に問題がある。)
 もし、警報機能に有意差があるとすれば、住警器は能力不足で一般住宅に普及させるのは誤りでしょうし、警報機能に有意差がないとすれば、特定設備は住警器で良いということになります。

 そこで、感知性能等の違いが、警報機能としての効能等にどれほどの有意差をもたらすのかを総務省消防庁にお尋ねしたところ、納得のゆく明確な回答が得られませんでした。(問い合わせ内容は下記の参考参照)

  

 利権を捨て、「特定設備」に住警器仕様の統合・認可を

  特定設備は、住警器との警報機能の効能等の有意差が不明であることに加え、両方の仕様を満足する製品は作れない仕様となっている上、住警器同様に資格不要で誰でも設置可能なのに、防災業者向けに販売され、一般には入手困難となっています。
 この特定設備義務付け省令は、最適な機器の選択を妨げ、市場流通が阻害された製品を押し付ける行政指導の価格カルテル、独占禁止法違反にも等しい制度であり、行政の利権がらみの取り組み、業界との癒着としか思えません。  
 部品技術の進化は激しいのですから、要件、基準仕様を統合し、量産化を促し、競争下に置く取り組みが、防災用品にも求められるべきです。

 住宅に設置が義務化され市販されている住警器が能力不足であるなら、住警器が特定設備を凌駕する能力を備えること、特小施設での設置機器の選択を可能とすることなどの是正が必要であり、特定設備についてはその市販化を妨げないことなどが必要なのです。
 住警器を設置済みの特小施設も多いと推定され、民泊施設の認可にも住警器では駄目で特定設備が必要とされており、早急なアセスメント、基準統合化、市場流通化(販路限定や一般販売しない製品は特定設備として認定しないなど)の取り組みが求められるのです。
 このような状況をマスメディアは取り上げることもなく、消費者庁も目を塞いだままというのは嘆かわしいかぎりです。

 

  参考 総務省消防庁への問い合わせ概要

 

1 特定設備の設置対象について
 特定設備でなければならない特小施設と一般住宅とを区分する防災上の要件の差異および、特小施設(設置義務の対象)として分類する根拠を分かりやすく説明を。
 
2 火災発生時の特定設備と住警器の効能の差
 作動試験(感度種別2種の場合)による性能の差異
>> 1メートル当たりの減光率15の濃度の煙を含む風速(20以上40以下)センチメートル毎秒の気流に投入したとき、
>> 光電式スポット型感知器の感度は30秒以内
>> 光電式住警器の感度60秒以内
の意義

 特小施設に、住警器(連動型)では不適であるとする感知性能等について、火災発生時に特定設備との効能の差、例えば、火災発生から報知までの時間、更に非難時間にどれほどの差がでるのか、死亡発生率の差などを明確にお示し下さい。
 また、住宅用が役立たなかった事例と、これが特定設備であれば十分役立ったとさ れる根拠をお示し下さい。

3 設置上や警戒時にも次の差が意味をなす
>>B 使用温度範囲の違い
>>・自動火災報知設備 -10℃〜50℃
>>・住宅用防災警報器  0℃〜40℃

 「特小施設と一般住宅の住戸内との設置環境の違いを考慮したもの」とのことですが、寒冷地や猛暑地など地域差ならまだしも、特小施設内と一般住宅で環境が異なるということが理解できません。これは外箱の材質についても。
 具体的な事例でご説明願えませんでしょうか?
 
4 電池寿命について 特定設備:6年 住警器:10年
 「電池の交換などは比較的容易にできることとはいえ、すべての方ができるかとい うと難しいこともあり得ます。そうなると、機器ごと交換が必要となるため、できるだけ長いスパンで設置が可能となるよう、電池の寿命等も考慮しなければならないのではないでしょうか。」とのことですが、これは、電池寿命を延ばすために、自動火災報知設備の必要な能力を住警器では犠牲にしていると受け取れます。
 検知能力が高く、消費電力が小さいこと、電池寿命が長いことが良いのは、どちら も同じだと思います。 もし、火災報知機として特定設備の能力が必要なら、電池寿命を10年と要求するだけで事足りるはずです。
電池容量を2倍/2個にするだけで解決できるのですから。
 特定設備でも同じく10年とした方が電池交換費用を不要とし、総費用を下げるこ とができます。

5 点検の義務付けについて
 「住警器については、一般住宅であることを考慮し点検の義務付けはありません。」というのも、一方が点検不要で他方が必要というのは奇異に思えます。
 信頼性が極端に違うのでなければ、火災報知器の正常動作の確認のための点検の必 要性は同じではありませんか。
 報告は別にして、なぜ、住警器は点検が義務付けされないのでしょうか?
 特定設備は年二回の点検など維持についての義務等があると定められているようですが、逆に、一般住宅で義務でないなら、特定設備でも同じく不要な仕様にすれば良いのでないでしょうか?
 自動試験機能や電池切れ警報などもついており、点検は不要のように思われます。 高価なのに、これらの機能が役ただない、それほど信頼性が低いのでしょうか?
 
 なお、点検・報告など維持についての義務等は、機器の種別によるものではなく、 設置環境の運営形態によるものとして規定すべき事項のように思います。

6 選択基準となりうる情報として
 「特定設備を一般住宅に設置していただくことは理想ではありますが、利用者にとって不利益であり、それこそ、利用者の目線にはないと考えます。」とのことですが、逆に、住警器が能力に問題なければ、特小施設でも問題ないと思われます。
 先の質問と少し重複しますが、特定設備と住警器との選択を自由にしたとして、販 売店に並べた状況を想定して下さい。
「価格と電池寿命以外の選択基準となる情報」を庶民に分かりやすく表示する必要が ありますよね。
  販売サイドとしてどんな情報を表示しますか?
  利用者としてどんな情報で選択しますか?
 これらの情報を提示して頂きたいのです。


7 費用削減について
 特定設備の設置、点検、交換等の費用は、最終的には、利用者である障害者等に転 嫁されます。このため、関係者はそれぞれの役割において、コスト、費用の削減に努めることが求められます。
 「販売の形態につきましては、各社の取組によるもの」との回答には、遺憾の意を 表します。義務づけするだけであれば、利権を欲しがるサルでもできる。
 義務付けするからには、対象機器の価格、運用コストを下げる取り組みも求められ ると考えます。

 防災事業者限定というのは、価格カルテルを結んでいるのに等しい。
 ラズパイなどマイコンボードが¥5,000程度で買え、50型TVも¥50,000程度で 買える時代に、特定設備一台\15,000、10台で¥150,000も掛かるというのは、例え国内限定製品だとしても価格が高すぎます。経産省や消費者庁とも連携をとり、一般競争販売化、海外への展開促進や、海外製品の適用認可など、早急に費用削減への取り組みをお願いしたい。

8 その他(方式信頼性について)
 特定設備は、親1台に子器15台程度のもののようですが、火災発生時に親機が故 障しても、正常な全子機に火災通知がなされることを求めているのでしょうか?
 ホウチキ(株)の住警器では、全てが親子機能をもち、どれが故障しても、確実に 警報がなされることを謳っています。
 上記の要件がされていなければ、住宅用の方が方式信頼性が高いということになりま す。

 

令和元年10月

   

     

 

 お知り合いに、お悩みを抱える企業の方はいらっしゃいませんか?
 あなたのご紹介が、問題解決への大きな力になるものと思います。
 是非、次のリンクから、メールでご紹介下さい。
    ご紹介メール作成ページへ 

 

 

 更新履歴・お知らせ

 

 情報知能サービスの

 ファイ


お気軽にご相談下さい。

    

 

先頭に戻る